| 「ン…ねぇ、宗勝、面白いこと…シようか…」 「面白いことと申されますと？」 宗勝が隆景の股間から顔を上げる。口元は唾液と先走りで濡れていて、酷く淫靡だ。隆景も宗勝の口淫に息を荒げている。 隆景は不思議そうに首を傾げる宗勝の顔を跨ぎ、方向を変え、頭を宗勝の足側に向けた。そして驚いた顔をしているうつ伏せの宗勝に仰向けになるように促した。 「宗勝、シラケちゃうよ？」 「す、すみません…」 言われるがままに仰向けになる宗勝は、これから起きるであろうことを、薄々感じ取っているような気配もある。何せお互い全裸で、この状態で仰向けになれば当然隆景の眼前には自分の陰茎。となれば。 隆景がクスクスと笑いながら、顔を赤くしたまま宗勝の股間に顔を埋めた。 「たっ、隆景様！？」 「ん、むぅ…」 やはり、とは思ってはいても、突然主人からの口淫を受ければ驚くのは当然だ。しかも相手は６歳も年下の。まだ初々しさの残る１９歳。 互いのものを同時に舐め合うなどとどこで覚えてきたのか、と言おうとした宗勝は、快感の中ではたと気付いた。そう言えば昨年父元就に連れて山口へ行ってきてから隆景の様子がおかしいことに。夜伽の時、妙に艶めかしくなった仕草。そして何より、どちらかと言えば苦手だった口淫を進んでするようになったこと。しかもその性技は、突然人が変わってしまったかのように上達していた。 大方兄弟でもあり恋仲でもある元春に仕込まれてきたのだろうと、宗勝は若干僻みの目で隆景を見た時期もある。しかしそれは間違っていた。聞いたことがある。いや、有名な話だ。大内義隆が美童を好んで小姓として召し抱えていると。そして、主隆景の一番上の兄、隆元もその毒牙にかかったと。 「隆景様…っ」 「宗勝も…舐めて…」 口淫による快感に浮かされる宗勝の頭を様々な憶測が流れている間にも陰茎は質量を増し、隆景の口内を占拠していた。 隆景の言葉に我に返り、目の前の陰茎にむしゃぶりつく。先程とは違い、隆景が上に覆いかぶさっている状態なので、宗勝の口淫に体重を支えられなくなった隆景がじりじりと喉の奥まで入り込んでくる。頭を振れなくなる前に、と宗勝は指を使い隆景の肛門も同時に責めた。 「あっ、宗か…っ」 「っふ」 奥まで差し込んだ指を手前に折ると、隆景がガクッと体勢を崩す。喉の奥を突かれる前に横を向き、身体を横に倒したままお互いの陰茎をしゃぶり合った。 宗勝は相変わらず隆景の肛門にも指を這わせている。コリコリとしたしこりを見付け、ソコを断続的に押してやると、隆景の口が止まり、諤々と震えだし陰茎が震えた。ここぞとばかりにそこをギュッギュッと押す。 「あっ、あ、乃美君！イっちゃ…！！」 隆景が白い喉を晒し、大きく喘いだ瞬間を見計らい、咥えた陰茎を強く吸った。 「大丈夫ですか？」 「………うん」 ぼーっと宗勝を見つめる隆景に声をかける。余程の快感だったのか、隆景は達した直後、しばらく意識を失ってしまったのだ。これでは仕方がないと、昂りを抑えたまま隆景に薄い布団を掛けてやり、一人で隆景が勃たせた陰茎を扱いた。隆景の、どこかあどけない寝顔を見ながらする自慰は、矢張り背徳的で、彼が主であることもそれを助長させた。 しかしまさか気絶してしまうとは…と愛らしい寝顔をしげしげと眺めていると、隆景がふいに目を開けた。そして暫く宗勝の顔を眺めていた後真っ赤になって布団を被ってしまったのだ。 布団の隙間から様子を窺うと、相変わらず顔を赤くした隆景が其処にいた。 「乃美君、イかなかったでしょ？」 「私は自分で処理しましたから」 笑顔の宗勝に隆景の胸が痛む。 「もう一回シてあげる」 「結構ですよ、もうゆっくりお休みなさいませ」 宗勝の優しさに胸が痛む。宗勝に伸ばした手は、やんわりとした動作で布団の中に戻された。 どうして？私が気絶しちゃったから？時としてその優しさは不安を呼ぶ。春兄、ごめん。宗勝に嫌われてはいないか、それが一番心配だった。元春を差し置いて宗勝と身体を重ねた罰なのか。隆景は居た堪れない気持ちになった。 一度は布団から出された顔が再び布の海に沈む。今度は宗勝が不安になる番だった。何か無礼を働いてしまったのか、考えても答えは出ない。当然だ。答えは隆景の中にあるのだから。 「ゴメンね、乃美君」 「お気になさいますな、隆景様」 ゆっくり休んで、それからまた私にいつものように笑みを向けてください。 そっと二度、布団の上から隆景を軽く叩き、宗勝は自室へ戻るべく、隆景の部屋を後にした。 戻る |